導入:優秀選手賞が示した「評価の輪郭」
2025シーズン、清水エスパルスのMFマテウス・ブエノが「Jリーグアウォーズ 優秀選手賞(ベストイレブン最終候補)」に選ばれた。
派手な数字で騒がれるタイプではないのに、リーグの表彰に名前が載る。そこがまず面白い。
清水サポーター目線で言うなら、「見てる人は見てた」感が強い。じゃあ何が評価されたのか。
ここでは、Jリーグ公式の選手スタッツ(データ提供:データスタジアム)とクラブ発表を根拠に、ブエノの“効いていた部分”を整理する。
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チーム内での立ち位置:まず「いないと困る」稼働量
ブエノの2025年を一言でまとめるなら、出続けて、走り続けたシーズンだ。
J1リーグの公式スタッツ上で、ブエノは出場37試合、出場時間3315分(リーグ14位)、そして総走行距離403.9km(リーグ3位)に入っている。
ここだけで、監督・チームからの信頼と、役割の重さが透ける。
プレーの何が評価されたのか:派手さより「手数」と「前進」
守備:奪うだけでなく、相手の前進を止める
ブエノは“刈り取り屋”の一言で片付けるより、相手の進行方向を限定して、そこで潰す/遅らせるタイプに見える。
数字で言えば、公式選手ページの「TOP3」項目で、1試合平均インターセプト0.4(リーグ9位)が出ている。
インターセプト自体が多い=読みとポジショニングが効いている、という評価に繋がりやすい。
攻撃:背中で受けて、前を向かせる“地味な推進力”
ブエノの良さは、攻撃の最終局面というより、攻撃に入るための一手目・二手目にある。
公式選手ページでは、1試合平均の敵陣パス数が32.8(リーグ4位)。
これが象徴的で、清水が前に進む局面でブエノのタッチが頻繁に入っていた、と受け取れる。
さらに、公式選手ページの「TOP3」には1試合平均プレー数73.8(リーグ8位)もある。
ボール保持でも非保持でも、“試合に触っている”量が多い。
スタッツから読み取れること:結論ではなく「傾向」として
主要スタッツ(2025年J1/Jリーグ公式)
| 項目 | 数値 | 読み取り(傾向) |
|---|---|---|
| 出場試合数 | 37 | シーズンを通した稼働。軸として扱われたと見ていい |
| 出場時間 | 3315分(リーグ14位) | 「出場=信用」。途中交代で消える選手ではない |
| 総走行距離 | 403.9km(リーグ3位) | 強度の土台。チームのテンポ維持に直結しやすい |
| 得点/アシスト | 1/2 | 表彰の根拠が“得点関与”だけではないことを示す |
| 1試合平均 敵陣パス数 | 32.8(リーグ4位) | 前進局面で関与が多い。ビルドアップの中核になりやすい |
| 1試合平均 プレー数 | 73.8(リーグ8位) | ボールと試合の両方に触れる回数が多い |
| 1試合平均 インターセプト | 0.4(リーグ9位) | 読み/立ち位置の良さが“奪いどころ”に出る |
| 1試合平均 パス数/パス成功率 | 58.0/88.8% | 無理な賭けより、つなぎ直しと前進の両立を志向 |
| 自陣パス成功率 | 93.4% | 自陣で事故らない。リスク管理の上手さの材料 |
| 敵陣パス成功率 | 87.1% | 前で“ちゃんと通す”。押し込む時間を増やしやすい |
| 1試合平均 ロングパス数/成功率 | 4.2/72.4% | 逃げのロングではなく、展開として使うタイプに見える |
| タックル成功率 | 70.0% | 当たりに行って終わりではなく、回収まで繋げたい意思 |
| ドリブル成功率 | 55.7% | 突破役というより、局面を剥がす“前進手段”の一つ |
| ファウル/被ファウル | 36/54 | 球際に出る回数が多い。被ファウルの多さは「止められた」裏返し |
| 警告 | 7 | 強度の代償。ここは翌年の課題にもなりうる |
※上記の数値は、Jリーグ公式サイトの選手ページ/選手スタッツ(2025/12/7更新表示あり)で確認できる範囲を採用。
評価の集まり方:サポーターと“有識者”で軸が揃った感
サポーターの見方:言葉は違っても、刺さるのは「効き目」
SNSの反応を追うと、ブエノは「玄人好み」と言われがちだが、実際はもっと単純で、“我慢して走って、局面を整える”ことが愛されている印象がある。
例えば、総走行距離の話題と合わせて「我慢と努力」といった表現で語られる投稿も見かける。
解説者・有識者の評価:表彰=ノミネートに残った事実
一番強い根拠はこれで、ブエノは「2025 Jリーグアウォーズ 優秀選手賞(ベストイレブン最終候補)」に清水から名を連ねた。
投票や選考の最終形がどうであれ、少なくともリーグの年間表彰の“候補群”に入ったという事実が、評価の厚みを裏付ける。
優秀選手賞につながった理由:清水事情とリーグ全体の希少性
清水のサッカーは、試合の中で波が来る。押し込む時間もあれば、耐える時間もある。その両方をつなぐポジションに、ブエノはいた。
そしてリーグ全体で見ても、「走行距離トップ級」かつ「敵陣でパスを供給できる」中盤は意外に少ない。
守備専ではない、攻撃専でもない。だからこそ“評価が割れにくい”。
そういうタイプが優秀選手賞の候補に残るのは、納得感がある。
総括:2025年のブエノは「清水の背骨」だった
数字で言えば、37試合3315分、総走行距離403.9km。
これだけで、2025年の清水がブエノを“背骨”として使ったシーズンだったことは伝わる。
ただ、ブエノの価値は数字だけに閉じない。
敵陣でのパス供給、プレー数の多さ、読みの効いた潰し。派手な一撃ではなく、試合の温度を一定に保つ仕事で評価を積み上げた選手。
来季に向けての課題を挙げるなら、強度の裏返しとしてのカードリスクや、攻撃の最終局面で“もう一段”目立つ材料を増やせるか。
その辺りが、ベストイレブン級へ伸びるためのテーマになりそうだ。
それでも2025年の結論は変わらない。
ブエノがいたから、清水は中盤の基準点を保てた。優秀選手賞は、その“効き目”がリーグ規模で認識された証拠だ!

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