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派手さはない。でも効いていた。2025年、マテウス・ブエノが評価された理由|LARANJA TIMES 25.12.13号

【令和7年】2025年12月13日(土)

目次

導入:優秀選手賞が示した「評価の輪郭」

2025シーズン、清水エスパルスのMFマテウス・ブエノが「Jリーグアウォーズ 優秀選手賞(ベストイレブン最終候補)」に選ばれた。

派手な数字で騒がれるタイプではないのに、リーグの表彰に名前が載る。そこがまず面白い。

清水サポーター目線で言うなら、「見てる人は見てた」感が強い。じゃあ何が評価されたのか。

ここでは、Jリーグ公式の選手スタッツ(データ提供:データスタジアム)とクラブ発表を根拠に、ブエノの“効いていた部分”を整理する。

清水エスパルス公式WEBサイト
【2025Jリーグアウォーズ】マテウスブエノ選手『2025Jリーグ優秀選手賞』受賞のお知らせ 【2025Jリーグアウォーズ】マテウスブエノ選手『2025Jリーグ優秀選手賞』受賞のお知らせ | ニュース | 清水エスパルス公式WEBサイト

チーム内での立ち位置:まず「いないと困る」稼働量

ブエノの2025年を一言でまとめるなら、出続けて、走り続けたシーズンだ。

J1リーグの公式スタッツ上で、ブエノは出場37試合出場時間3315分(リーグ14位)、そして総走行距離403.9km(リーグ3位)に入っている。

ここだけで、監督・チームからの信頼と、役割の重さが透ける。

プレーの何が評価されたのか:派手さより「手数」と「前進」

守備:奪うだけでなく、相手の前進を止める

ブエノは“刈り取り屋”の一言で片付けるより、相手の進行方向を限定して、そこで潰す/遅らせるタイプに見える。

数字で言えば、公式選手ページの「TOP3」項目で、1試合平均インターセプト0.4(リーグ9位)が出ている。

インターセプト自体が多い=読みとポジショニングが効いている、という評価に繋がりやすい。

攻撃:背中で受けて、前を向かせる“地味な推進力”

ブエノの良さは、攻撃の最終局面というより、攻撃に入るための一手目・二手目にある。

公式選手ページでは、1試合平均の敵陣パス数が32.8(リーグ4位)

これが象徴的で、清水が前に進む局面でブエノのタッチが頻繁に入っていた、と受け取れる。

さらに、公式選手ページの「TOP3」には1試合平均プレー数73.8(リーグ8位)もある。

ボール保持でも非保持でも、“試合に触っている”量が多い。

スタッツから読み取れること:結論ではなく「傾向」として

主要スタッツ(2025年J1/Jリーグ公式)

項目数値読み取り(傾向)
出場試合数37シーズンを通した稼働。軸として扱われたと見ていい
出場時間3315分(リーグ14位)「出場=信用」。途中交代で消える選手ではない
総走行距離403.9km(リーグ3位)強度の土台。チームのテンポ維持に直結しやすい
得点/アシスト1/2表彰の根拠が“得点関与”だけではないことを示す
1試合平均 敵陣パス数32.8(リーグ4位)前進局面で関与が多い。ビルドアップの中核になりやすい
1試合平均 プレー数73.8(リーグ8位)ボールと試合の両方に触れる回数が多い
1試合平均 インターセプト0.4(リーグ9位)読み/立ち位置の良さが“奪いどころ”に出る
1試合平均 パス数/パス成功率58.0/88.8%無理な賭けより、つなぎ直しと前進の両立を志向
自陣パス成功率93.4%自陣で事故らない。リスク管理の上手さの材料
敵陣パス成功率87.1%前で“ちゃんと通す”。押し込む時間を増やしやすい
1試合平均 ロングパス数/成功率4.2/72.4%逃げのロングではなく、展開として使うタイプに見える
タックル成功率70.0%当たりに行って終わりではなく、回収まで繋げたい意思
ドリブル成功率55.7%突破役というより、局面を剥がす“前進手段”の一つ
ファウル/被ファウル36/54球際に出る回数が多い。被ファウルの多さは「止められた」裏返し
警告7強度の代償。ここは翌年の課題にもなりうる

※上記の数値は、Jリーグ公式サイトの選手ページ/選手スタッツ(2025/12/7更新表示あり)で確認できる範囲を採用。

評価の集まり方:サポーターと“有識者”で軸が揃った感

サポーターの見方:言葉は違っても、刺さるのは「効き目」

SNSの反応を追うと、ブエノは「玄人好み」と言われがちだが、実際はもっと単純で、“我慢して走って、局面を整える”ことが愛されている印象がある。

例えば、総走行距離の話題と合わせて「我慢と努力」といった表現で語られる投稿も見かける。

解説者・有識者の評価:表彰=ノミネートに残った事実

一番強い根拠はこれで、ブエノは「2025 Jリーグアウォーズ 優秀選手賞(ベストイレブン最終候補)」に清水から名を連ねた。

投票や選考の最終形がどうであれ、少なくともリーグの年間表彰の“候補群”に入ったという事実が、評価の厚みを裏付ける。

優秀選手賞につながった理由:清水事情とリーグ全体の希少性

清水のサッカーは、試合の中で波が来る。押し込む時間もあれば、耐える時間もある。その両方をつなぐポジションに、ブエノはいた。

そしてリーグ全体で見ても、「走行距離トップ級」かつ「敵陣でパスを供給できる」中盤は意外に少ない。

守備専ではない、攻撃専でもない。だからこそ“評価が割れにくい”。

そういうタイプが優秀選手賞の候補に残るのは、納得感がある。

総括:2025年のブエノは「清水の背骨」だった

数字で言えば、37試合3315分、総走行距離403.9km。

これだけで、2025年の清水がブエノを“背骨”として使ったシーズンだったことは伝わる。

ただ、ブエノの価値は数字だけに閉じない。

敵陣でのパス供給、プレー数の多さ、読みの効いた潰し。派手な一撃ではなく、試合の温度を一定に保つ仕事で評価を積み上げた選手。

来季に向けての課題を挙げるなら、強度の裏返しとしてのカードリスクや、攻撃の最終局面で“もう一段”目立つ材料を増やせるか。

その辺りが、ベストイレブン級へ伸びるためのテーマになりそうだ。

それでも2025年の結論は変わらない。

ブエノがいたから、清水は中盤の基準点を保てた。優秀選手賞は、その“効き目”がリーグ規模で認識された証拠だ!

参考リンク(一次情報中心)

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